フリーランスエンジニアのトミザワです。
AIツールの到来により、この1年弱でWeb制作現場を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。
本来5人分の工数が必要だった作業を、たった1人にClaude Codeを持たせて仕事をさせるだけで完結できる環境になりました。
しかし、1人当たりの生産性が上がりすぎるということは、それに伴うデメリットも出てきます。
今回は、現実に起きている事例に加え、あくまでも私が考える未来予想も含めて、今後のWeb制作現場の動向を解説したいと思います。
1. 誰でもアプリ開発ができるようになった
これは既に実現していることですが、AIツールを使えば、プログラムの知識がない人でもWebアプリなどが作れます。
例えば、Claude CodeやFigma AIなどを使用すれば、下記のような大部分の制作工程を自動化することが可能です。
01
仕様書作成
要件をもとに、AIが仕様書のたたき台を自動生成
02
デザイン生成
Figma AIなどを使い、デザインカンプを短時間で作成
03
自動コーディング
Claude Codeなどが仕様書・デザインをもとにコードを自動で生成
04
Git Actionsでのデプロイ(本番への反映)
CI/CDの仕組みにより、コードの変更を自動でテスト・本番環境へ反映
05
MCPによるSaaSサービスでの作業
MCP(Model Context Protocol)を介して、外部のSaaSサービスと連携した作業もAIが代行
もちろん、人間側も行わなければならない設定や監視すべき作業は必ずあります。
しかし、Claudeの指示に従って作業を行えば、それらも時間をかければクリアすることが可能です。
Claude Codeなどの導入によってバイブコーディングができるようになった今、自身の時間や単価面での費用対効果に疑問を持つ人も多くなったでしょう。
そんな人たちにとって、誰でも気軽にWebアプリ開発にトライできる環境が整っているのです。
誰でもアプリ開発ができる=成功する訳ではない
本当に良いサービスを作ろうと思えば、根幹となる設計の部分などはしっかり熟考する必要があります。
例えば、AIが出したデザインが運用する上で本当に正しいものであるかを見極める必要があります。
- このデザインがCVR(コンバージョン率)の向上につながるか
- 要素の配置が離脱率の防止につながっているか
- SEO対策が最適化されているか
- 不具合が起きてもA案からB案へすぐに切り替えられる設計になっているか
つまり、AIを使えば必ず成功するわけではなく、あくまでも誰でも「作るまではできる」という表現が正しいでしょう。
私の肌感にはなりますが、現状の個人開発であれば、特にディレクターやUI/UXデザイナーなどが使用することで真価を発揮すると感じています。
2. 個人が作る記事コンテンツは厳しい時代に
今に始まったことではないですが、個人メディアがSEOで他サイトに勝つには厳しい時代となっています。
AIを使って記事の量産ができるようになったとはいえ、それに伴い企業間のSEO競争も激しさを増しています。
特にGoogleはE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を検索品質の重要な考え方として扱っています。
「経験」とは、実際に製品を使った経験や、実際にその場所を訪れた経験など、何らかの経験をもとに作成されたコンテンツを指します。
出典:Google Search Central Blog「Our latest update to the quality rater guidelines: E-A-T gets an extra E for Experience」(developers.google.com)
例えば金融や医療関係メディアなどは権威性の部分に大きく直結します。
お金をかけて高品質な記事と専門性を持ったライターに執筆してもらう企業に対して、工数と専門性に限界がある個人でそこと戦うことは、どうしても無理があります。
抜け穴もある
では、絶対に個人メディアでは勝てないのか?というと、確実にそうではありません。
これまでの経験や専門性を持ち合わせている方や、AIによる運営効率を最大化している人であれば、企業と対抗できる可能性はあります。
また、私個人の意見になりますが、これから個人メディアがSEOで企業に対抗するには、下記がキーとなると予想しています。
💡 ポイント
個人の体験談や失敗談など、一次情報に需要が集まっています。
例えば、私が別途運営しているメモ用の技術ブログでは、一番読まれるジャンルは失敗体験などが最も多いと、数字上でも出ています。
また、これからのAI時代は個人の体験談による一次情報が重宝されるとのデータも出ています。
個人メディア(ブログ)は、ジャンルの見極めだけでなく、自身の実体験に基づいた記事制作が今後は重宝されるでしょう。
3. コーダーの仕事が激減する
こちらも既に始まっていますね。
マイクロソフトのビル・ゲイツ氏も、今後10年ほどで大量の雇用が失われると提言しています。
AIの能力により、より少ない労働力でより多くのモノやサービスを生み出せるようになります。AIは法律、カスタマーサービス、医療、ソフトウェア、製造業などの仕事を担うようになり、その影響は数世代ではなく、この10年ほどで急速に広がっていくでしょう。
出典:Bill Gates「The Year Ahead 2026: Optimism with Footnotes」(gatesnotes.com)
特にWebやソフト開発の領域は、既にそれが数字として現れています。
例えば、AIによるバイブコーディングにより、単純なマークアップ作業、WordPressの構築・実装作業、ローカル環境内だけで完結するプログラミング作業などのフリーランス案件は、現在でも明らかに減少傾向が見られます。
IT関連の仕事、特にフロントエンドは、この影響が顕著に出やすいと考えられます。
また、実際に大手テクノロジーメディア「TechRadar」が紹介した研究では、2021年7月から2023年7月にかけて61か国・約200万件の求人案件を分析しました。その結果、ChatGPT公開後、AIによる自動化の影響を受けやすい仕事の求人案件数が減少したと報告されています。
私がいつもお世話になっているエージェントの方曰く、現在フロントエンド案件で最も求人数の多いReact.jsですが、「書けるだけ」では選考に通りづらいそうです。
コードが書けることは大前提で、設計やシステムへの組み込みなど、フルスタック系のエンジニアが求められているそうです。
時折、クラウドワークスで記事外注が1文字0.1円で行われている光景を目にしますが、今後コーディングもそのような価格崩壊が起きる、もしくは外注せずに自社でAIを使って完結させる形になっていくと予想しています。
エンジニアがAIに対抗するには?
言うまでもなく、スキルアップがその答えとなります。
基本的にエンジニアは、自分のスキルを正しい形で横展開していける人が、どんどん強くなっていきます。
先ほどお伝えした通り、これからはエンジニアに求められる作業も増えていくと予想されるため、通常のコーディングだけでは単価アップは見込めません。
フロントエンド×バックエンド×設計など、言語学習だけでなく上流工程にもスキルを横展開していくことが求められています。
💡 ポイント
AI導入により、1人当たりの生産性も上積みされていく
もしくは、マーケティング×セールスエンジニアなど、これまでの経験と自身の適性が合いそうな組み合わせを強化していくことも一つの戦略になります。
フロントエンドエンジニアは技術の移り変わりが非常に激しく流動的なため、日常的にスキルのキャッチアップが必要となります。
もし、今の職場でスキルアップや能力の横展開が難しい環境であれば、個人的には転職してしまうことを強くオススメします。
4. フリーランスから会社員に戻る人が増える
ここまで解説した通り、React.jsであってもコードを書けるということは、今やそれほど価値がなくなっています。
コーディングで価格崩壊が起きるということは、今のフリーランス中堅エンジニアの生活にも影響します。
実体験として、基本的にフリーランスは今の自分以上のスキルを求められる現場に入ることは難しいと感じています。
これは、企業側が求める言語の経験年数なども関係しますが、よく分からない案件に参加してしまうと、システムの破損や納期内の作業未完了など、下手をすると訴訟問題へと発展しかねません。
フルスタック系のフリーランスを求める企業が多くなってきたように、一部の上級技術者が生き残る時代へとシフトしているように感じます。
今まさにAIによる技術革新の壁にぶつかっているフリーランスこそ、会社員として転職し、AI時代に備えたスキルアップを図ろうとする人が続出するのではないか、と予想しています。
変化の時代だからこそ、伴走できるパートナーを
ここまでお伝えしてきた通り、AIの登場によってWeb制作・開発の当たり前は大きく変わりつつあります。
その一方で、変化のスピードに現場の体制がついていけず、「何から手をつければいいか分からない」「AIを使いこなせる人材が社内にいない」といったお悩みを抱える企業様も増えています。
Bonta-Proでは、こうした変化に対応しながらオウンドメディアを安定運用していただけるよう、現役エンジニアによる保守運用・コンテンツ更新・GA4を活用したデータ分析までを伴走支援するサービスをご提供しています。
AI時代の変化に自社だけで対応しきるのが難しいと感じている場合は、まずはお気軽にご相談ください。